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生命現象の動的平衡の回復をめざして

市民の、市民による、市民のための原発事故対策(その1)

since 2010. 3.25
last update 2011. 4.25
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 ことば 
 放射線 「正しく恐れよう」

        4月23日日経新聞「山下俊一
        長崎大教授の啓発の言葉」見出し
第二部
 しかし最大の問題は次にある----どうしたら「正しく恐れる」ことを認識できるのか。

そのための基本原理は「偶像崇拝の禁止」。
君は天にあるもの、地にあるもの、水のなかにあるものの、どんな形あるものも作ってはならない。それにひれ伏してはならない。それに仕えてはならない。
       出エジプト記 20章「モーセの十戒」

 具体的には、政府、企業、学者その他ありとあらゆる権威に対する盲従の否定と自らの再吟味。
 放射線で言えば、世間に通用する権威・権威者による「放射線のことば」の再吟味。

再吟味のための基本原理は「視差」の中で考えること。
 さきに、私は一般的人間悟性を単に私の悟性の立場から考察した。今私は自分を自分のではない外的な理性の位置において、自分の判断をその最もひそかな動機もろとも、他人の視点から考察する。
 両者の考察の比較は確かに強い視差を生じはするが、それは光学的欺瞞を避けて、諸概念を、それらが人間性の認識能力に関して立っている真の位置におくための、唯一の手段である。
                カント「視霊者の夢」

視差をもたらす「放射線のことば」
 放射能は見えない、臭わない、味もしない、理想的な毒です。
        アーネスト・スターングラス博士
        の青森市講演(2006年3月)

 今日の放射線被爆防護の基準とは、核・原子力開発のためにヒバクを強制する側が、それを強制される側に、ヒバクがやむをえないもので、我慢して受忍すべきものと思わせるために、科学的装いを凝らして作った社会的基準であり、原子力開発の推進策を政治的・経済的に支える行政的手段なのである。
          中川保雄「放射線被曝の歴史」
          カバーのことば

視差をもたらす「科学のことば」
(科学は)一つでも不合理な命題を導入すれば、どんな不合理な結論でも導き出すことができる。
      遠山啓「ラッセルのたとえ話」(※)より

(※)ラッセルはたとえ話をつくる名人。例えば、
「2+2=5なら、私はローマ法王だ、という結論が導き出せる」
このたとえ話は簡単に笑いとばせない意味を含んでいる(以上、遠山啓)。
それはいみじくもこの福島原発事故により証明された。
これまでの   ことば 


現時点のキーワード(その2):原発事故の新たな段階−−危機はひとまず去ったのか、それともひそかに進行しているのか?(2011.4.6)
現時点のキーワード(その1):事故の発生源は再臨界の危険性、汚染先は内部被曝(2011.4.2)

4つの対策と1つの未来と過去
対策ナウ、原発事故の新たな段階を迎え、全世界の技術者たちから叡知の結集を。
対策1、 避難のタイミング:自分が住む居住地がどの放射能レベルになったら避難すべきか
対策2、 居住地での被曝の回避:自分が住む居住地で、いま、放射能レベルはどれくらいで、どのような対策が必要か。
対策3、 食生活における内部被曝の回避:自分が住む居住地で、いま、飲料水や食物から放射性物質を摂取する危険はどれくらいで、どのような対策が必要か。
未来、  福島原発事故の未来は?→こちらへ
過去、  過去の歴史から、原子力と被曝の原点に帰る→こちらへ

対策ナウ−−今、早急に行なうべき対策とは−−(2011.4.6)

全世界のみなさんへ
 原発事故の危機を克服するために、世界中の技術者たちの叡知を結集する、Linuxのようなネットワークが今求められています。


ご承知と思いますが、日本は今、日本史上、最悪の事故の真っ只中にいます。
想定通りですが、政府も、原子力安全委員会も、東電も、原発事故の対応について途方に暮れており、実際上(そして遺憾ながら)崩壊状態にあります。
残るは、世界中の市民の叡知を結集して、難局に当たるしかありません。
そのために、Linuxみたいな、世界中の技術者たちのネットワークが不可欠です。

ところで、いま、そのような場が具体的に機能しているか、ご存知でしょうか。
もしまだであれば、早急にそのような場の立ち上げが求められます。
その呼びかけをすることは可能でしょうか(少なくともどなたかに相談することも含めて)

このサイトは最近立ち上げたもので、その冒頭が全世界の技術者の叡知の結集の必要性を呼びかけたレポートです。
市民の、市民による、市民のための原発事故対策「最も緊急の対策とは何か?」

国際的なネットワークを持っておられる方々へ、危急かつ最重要のお願いです。



原発事故の新たな段階−−危機はひとまず去ったのか、それともひそかに進行しているのか?
 政府は4月1日をもって防災服をやめ、スーツ姿に復帰。その理由は「復旧、復興に向けて歩を進めつつある」(枝野官房長官)からだという。
 4月3日、政府高官が「数ヶ月で放射能阻止」の見通しを語り、枝野氏もこの見通しが「一番オーソドックス」だと認めた。
 これらの発言から、政府が早期の解決は難しくとも、ひとまず危機は乗り切り、数ヶ月後の解決に向けて着々と歩んでいるという認識であることが伝わってくる。

 しかし、現実は果してそうだろうか。
 3月28日、原子力資料情報室主催の「福島原発現状解説」で後藤政志氏(元東芝原子力設計技術者)は、全く別の見通しを語った。
 後藤氏によると、同日の未明(午前3時ころ)、保安院は、記者会見で、
『1〜3号機全てで、圧力容器の底に重大な損傷があることを認めた』
こと、そして「圧力容器の底の損傷問題」は桁違いに重大な問題であるにもかかわらず、保安院は同時に発生したタービン建屋の放射能汚水の問題のことしか取り上げなかったことは技術者として凡そ考えられない、と痛烈に批判した。

事実、この「圧力容器の底の損傷問題」は、保安院のホームページの記者発表(28日)でも取り上げられていない。
また、マスコミでも取り上げられていない(例えば、NHKの原発関連ニュース(28日))。

なぜ、こんな重要な問題が消されてしまったのか。
それは、「圧力容器の底の損傷問題」は、この間東電が全力を注いできた外部電源の回復が実現したからといって解決するような、或いは冷却材の注入が正常化したからといって解決するような生易しい問題ではないからである。
むしろ、いくら外部電源が回復しても、冷却材の注入が正常化しても、「圧力容器の底の損傷問題」が解決しない限り、ザル(今のところザルの穴は大きくはなさそうだが)に水をかけるようなものである。
そして、成り行きによっては、溶け出した燃料棒が損傷した圧力容器の底から漏れ出し、集中したウラン燃料が再臨界を起こす可能性もあるという。
しかし、東電は、汚染先のタービン建屋の汚水問題については、おがくず、新聞紙と「なりふり構わず」漏水防止に躍起になって取り組んでいると報じられているが、汚染源の最大の懸案事項「圧力容器の底の損傷問題」はたった一つの対策すら実行していないことが明らかである。
この途方もないチグハグは何を意味するか。東電も原子炉メーカーも原子力の専門家だからとっくに分かっている−−現在、最大の懸案事項「圧力容器の底の損傷問題」は自分たちの手には負えない、と。
それはいま、原発事故が「危機に向かって、着実に歩を進めつつある」ことを意味するのではないか。

この事態に対して、スーツ姿で傍観する訳にはいかない。
今こそ、この懸案事項を解決するために、全世界の技術者たちが国境を超え、企業を超え、ネットを通じて叡知を結集して取り組むべき時ではないか。

* これまでの対策ナウ

月 日 題 名 備 考
2011.3.31 いま、母乳が危ない? 今すぐ母乳の放射性物質の検査を実施すべき。ーー>その詳細 被曝するとはどういうことか(被曝の意味)

対策1−−避難のタイミング−−
(1)、一般的な指針
 どの程度の放射線レベルになったら避難すべきかについて、一般的な指針は、
 →これまで紹介していた、
   山内正敏 (スウェーデン国立スペース物理研究所)「放射能漏れに対する個人対策」
  には、福島原発事故については根本的な疑問があるので、それが解明されるまで中断します。

 →新たに、池田光司(NPO法人チェルノブイリ救援・中部)「放射線の測定量と健康に与える影響および対応の仕方

 その結論は次の通り(放射線レベルの単位はマイクロシーベルト/時)。

分類 放射線レベル 対策 備考
一般人 3以上の状態が数日続く 脱出が望ましい @この量の放射線を1年間浴びると、次のような状態が起こると考えられている
・放射線作業者が1年間で平均的に浴びても良いとされている放射線量20ミリシーベルト/年を越え、放射線被曝が原因によるガンによる死亡率が10万人中数十人の割合で増加(計算上)する。
・一般の人が水晶体(眼)に1000人に数人の割合で障害が残らないようにと定められた15ミリシーベルト/年を越える
A妊婦の妊娠期間中に浴びても良いとされている放射線の量1ミリシーベルトに2週間で到達する量に相当する
B自然に観測される放射線量(0.05マイクロシーベルト/時)の60倍で、原発から放出されている放射性物質の多くが空気中に漂っていて観測された値と考えてよい、したがって、放射性物質を直接呼吸で吸い込む、身体に付着した放射性物質を二次的に吸い込む、口から取り入れるなどして体内に取り込んでしまう危険性が高い。体内に放射性物質を取り込んでしまうと、仮に外の放射能レベルが下がっても、体内の被曝(内部被曝)が続くことになるので、避難が無難であると考える。
妊娠初期 −−−−−−−
山内正敏氏の見解だと、一般人の10分の1なので、脱出が望ましいのjは「0.3以上の状態が数日続く」ときである。

 避難のタイミングは分かったとして、次に、自分の居住地の現在の放射線レベルを知ることが必要。
 →そのためには、下の表(2)、各地の放射線レベルから放射線レベルの情報を入手。

(2)、各地の放射線レベル

地域
(県HP)
直近の「空間の放射線量」測定結果 この間の「空間の放射線量」測定結果 備考


数値 グラフ
福島県 原子力災害情報→【測定結果・検査結果・福島県発表資料】の1番目:県内各地方 環境放射能測定値 原子力災害情報→【測定結果・検査結果】の3番目:県内7方部(2011.3.11〜) −−− 京大原子炉実験所今中哲二氏作成のグラフ

第1原発周辺 (文科省)
茨城県 北茨城市・高萩市  その他  つくば 北茨城市・高萩市(2011/3/15〜)
北茨城市(2011/3/13〜25)
つくば(2011/3/15〜)
水戸市
栃木県 6箇所の調査結果 2011/3/12〜25 宇都宮市
宮城県 環境モニタリング情報の空間放射線線量率 2011/3/14〜 −−−
山形県 山形市・米沢市 2011/3/12〜24 山形市
新潟県 6箇所の測定状況 2011/3/12〜25 新潟市
千葉県 市原市 2011/3/11〜 市原市
埼玉県 さいたま市 2011/3/15〜 さいたま市
東京都 新宿区百人町(最新データ) 2011/3/1〜 新宿区
神奈川県 3箇所の調査結果 2011/3/15〜 茅ヶ崎市
群馬県 前橋市 2011/3/15〜21 
2011/3/21〜25
前橋市
岩手県 −−−−− −−−−−− 盛岡市
秋田県 秋田市 2011/3/12〜 秋田市
その他 文部科学省の県別情報
参考 原子力機構の各拠点の測定結果のグラフ(3/15〜25)


対策2−−居住地での被曝の回避−−
(1)、一般的な指針
原子力資料情報室提供「被ばくを避けるために
 
 −−内部被曝問題の重要性−−
 被曝で大切なことは、外部被曝だけではなく、むしろ内部被曝の問題だということ。
 しかし、なぜか、マスコミも多くの専門家も内部被曝の問題を正面から取り上げるのを避けたがる。
 (例えば、ブログ「肥田舜太郎『内部被曝の脅威』−−martingale & Brownian motion」)
 その上、国は、内部被曝防止にとって必要な情報である「放射性物質を含む降下物(ちり、雨水等)の測定値」について、基準値というものを定めていない。
 以上の不可解な振る舞いには、それなりの訳がある。ともあれ、いまは以下を参照されたい。

 (a)、内部被曝の問題点については
→矢ケ崎克馬:講演「福島原発事故でいま何がー−現地からの報告」(2011.4.2)
         文書「福島原発事故について
 大江希望『「内部被曝」について
 津田敏秀岡山大学教授「放射線による内部被ばくについて

 (b)、内部被曝の回避のやり方については
→内部被曝とは体内に取り込まれた放射性物質からの被曝のことだから、その防止は放射性物質を体内に取り込まないに尽きる。
 つまり、次の4つのない
 吸わない → すぐ下へ
 飲まない → 対策3
 食べない → 対策3
 傷口から入れない → すぐ下へ

侵入経路 対策 備考
呼吸 1、濡れたマスクを使用し、外出の都度捨てる。
2、屋内に放射性物質を持ち込まない。
 (1)、外出時に着用したコートやズボンは玄関の外に置く。
 (2)、換気機能を働かせたエアコン・換気扇は使用しない。
NPO法人チェルノブイリ救援・中部作成の「放射線の影響から身を守るために 2011年3月福島原発事故を受けて
傷口 傷口は外気に直接触れない


(2)、各地の放射性物質

地域
(県HP)
降下物(ちり、雨水等)の検査結果 直近の「空間の放射線量」測定結果 この間の「空間の放射線量」測定結果 備考



数値 グラフ
基準値 国の統一基準ナシ



福島県 −−−−−−−−−− 原子力災害情報→【測定結果・検査結果】の1番目県内各地方 原子力災害情報→【測定結果・検査結果】の3番目 県内7方部(2011.3.11〜) −−− 京大原子炉実験所今中哲二氏作成のグラフ

第1原発周辺 (文科省)
茨城県 −−−−−−−−−− 北茨城市・高萩市  その他  つくば 北茨城市2011/3/13〜)
つくば(2011/3/15〜)
水戸市
栃木県 2011/3/18〜24(表の右側) 6箇所の調査結果 2011/3/12〜25 宇都宮市
宮城県 −−−−−−−−−− 環境モニタリング情報の1番上 2011/3/14〜 −−−
山形県 2011/3/18〜(画面の後半) 山形市・米沢市 2011/3/12〜24 山形市
新潟県 −−−−−−−−−− 6箇所の測定状況 2011/3/12〜25 新潟市
千葉県 2011/3/18〜(市原市) 市原市 2011/3/11〜 市原市
埼玉県 2011/3/19〜 さいたま市 2011/3/15〜 さいたま市
東京都 2011/3/18〜(新宿区) 新宿区百人町(最新データ) 2011/3/1〜 新宿区
神奈川県 −−−−−−−−−− 3箇所の調査結果 2011/3/15〜 茅ヶ崎市
群馬県 2011/3/18〜(前橋市) 前橋市 2011/3/15〜21 
2011/3/21〜25
前橋市
岩手県 −−−−−−−−−−− −−−−−− −−−−−− 盛岡市
秋田県 直近(秋田市) 2011/3/18〜 秋田市 2011/3/12〜 秋田市
その他 文部科学省の県別調査結果(2011/3/18〜)


対策3−−食生活における内部被曝の回避−−
(1)、一般的な指針
→放射能汚染された水・生産物は飲まない、食べない。内部被曝の回避はこれに尽きる。

 しかし問題はこれで終わらない。水や生産物がどの程度の放射能レベルになった時、この対策を実施すべきかを判断する必要があるからである。
 ところが、驚くべきことに、食品の安全性を扱う食品衛生法には、これについての基準が定められていない!
 そこで、食品衛生法を扱う厚労省は、この空白を埋めるため、急遽、原子力安全委員会が作成した「飲食物摂取制限に関する指標」(※)を暫定規制値として、対応することになった(3月17日付の通知)。
 だから、今、私たちが目にしている基準値とは福島原発事故発生を受けた、あくまで暫定のものである。

(※)原子力安全委員会「原子力施設等の防災対策について」23〜24頁・108〜109頁

(2)、各地の放射性物質(3/25現在)

地域
(県)
水道水の調査結果 農産物の放射能濃度 牛乳 水産物  備考 
基準値 国の統一基準ナシ
→厚労省、急遽、暫定規制値を設定。正式な既成値を大急ぎで策定中。(報道発表
原子力安全委員会の見解 
同左
同左
同左
福島県 2011/3/18〜 −−−−−−−−− 2011/3/16(川俣町)

茨城県 2011/3/20〜 2011/3/18〜 2011/3/19〜21

栃木県 直近 2011/3/18〜24(表の左側)  2011/3/19〜22

宮城県 −−−−−−−−− −−−−−−−−− −−−−−−−−

山形県 2011/3/18〜(山形市) 2011/3/24 全般 2011/3/25

新潟県 直近 2011/3/19〜  2011/3/18〜


千葉県 2011/3/18〜(市原市) 都中央卸売市場からの自粛要請
検査結果(2011/3/20)
2011/3/23 2011/3/24
埼玉県 2011/3/19〜 2011/3/20 2011/3/22

東京都 2011/03/18〜 2011/3/24 検査データ


神奈川県 2011/3/22〜 2011/3/22〜


群馬県 2011/3/18〜(前橋市) 2011/3/20〜(画面上部) 2011/3/23〜(画面下部)

岩手県 −−−−−−−− −−−−−−−−− −−−−−−

秋田県 直近(秋田市) 2011/3/18〜 −−−−−−−−− −−−−−−

その他 厚生労働省の検査情報(2011/3/20〜) 国の関係省庁のHP


(注)
1、避難の基準に関する山内正敏氏の見解に対する疑問

第1に、内部被曝を除外している点。現実の住民にとって外部被曝と内部被曝を峻別することはあり得ない。
第2に、3月11日の事故発生後避難しなければならない時までに、その居住地が浴びた放射線量の総量を念頭に置かなければならないのに、それが抜けていること。
第3に、原子力関係者の避難を考えるのであれば原子力関係者が緊急時に受けて良いとされる基準(100ミリSv)からスタートするのは合理的だが、今は民間人の避難が問題になっている。そのとき、なぜ原子力関係者の上記基準からスタートし、民間人の基準(1ミリSv)からスタートしないのか、理解できないこと。