意見書(抜粋)

岐阜環境医学研究所所長 松井英介

 郡山市における放射線による晩発障害の予測―チェルノブイリ原発事故に学ぶ

福島県郡山市の環境放射線汚染度と近似の汚染が確認されているベラルーシやウクライナなどチェルノブイリ原発事故汚染地域における健康障害調査データから、郡山市で今後発症するであろう種々の健康障害=晩発障害を予測します。

f)ベラルーシ共和国での心臓病の多発

 2009年、ギリシャのレスヴォスで開かれた国際会議でバンダシェフスキー教授(病理学)が報告した論文から、ベラルーシ共和国での心臓病に関する部分を以下に紹介します。{チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域における非がん性疾患、ユーリ・バンダシェフスキー(ミコラス・ロメリス大学、リトアニア、ヴィリニュス)、Proceedings of 2009 ECRR Conference Lesvos Greece, 翻訳:田中泉 翻訳協力:松崎道幸] からの引用}

 2008年のベラルーシ共和国の死因統計では、心臓病が52.7%と半数以上を占めています(下の図2.8)。

2.8:ベラルーシ共和国の死因、2008年(訳注:外部要因とは事故・犯罪死等)

 下の図2.12は、1997年と1998年にゴメリ地方住民に行われた病理解剖時のセシウム137の臓器別測定値を各臓器別に示したものです。の棒グラフが子ども、が成人です。棒グラフの下の数字は、次のように各臓器に相当します。1;心筋,2;脳,3;肝,4;甲状腺,5;腎,6;脾,7;骨格筋,8;小腸。

 子どもでは、セシウム137は甲状腺にもっとも高濃度に蓄積しており、甲状腺がんなど甲状腺疾患がヨウ素131だけに由来するものでないことを示唆しています。ついで蓄積量の多いのは骨格筋、小腸、心筋とつづき、ベラルーシ共和国における子どもの心臓病多発の原因がセシウム137の心筋への高濃度蓄積に起因する可能性を示唆しています。

2.121997年と1998年にゴメリ地方住民に行われた病理解剖時のセシウム137の臓器別測定値(;子ども、;成人)。1;心筋,2;脳,3;肝,4;甲状腺,5;腎,6;脾,7;骨格筋,8;小腸

 子どもにおける生体内セシウム137蓄積濃度と心電図異常発症率について検討したデータでは、心電図異常の発症が、05Bq/kgでは17%であるのに対し、1226 Bq/kgでは62%と急増、セシウム137の生体内濃度依存性に心電図異常が多発することが示されました(以下の図2.15、バンダシェフスキー&バンダシェフスキー)。

 

2.15:子どもにおける生体内セシウム137蓄積濃度と正常心電図を呈した、子どもの割合